
首都プノンペンを離れて農村地帯につれていってもらいました。カンボジアは純然たる農業国。Wikipediaによると「国土に占める農地面積は21.6%、人口の34%が農業に従事している。生産年齢人口が人口の56%」(2002年時点)ということですが、「地球の歩き方」(2002〜2003版)では「クメール人(カンボジア人)は総人口の9割近くを占めており、クメール人の8割以上は農業に従事している」とあるので、7割以上が農民ということになります。しかし農村からプノンペンなどの都市へどんどん人々が流れ込んできており、都市はスラム化して農業人口は減少しているそうです。おそらくこの傾向はますます進んでいくことでしょう。
ひるがえって日本のことを顧みてみると過去50年間で農業人口はなんと、60%から3%になってしまっています。たった3%ですよ!こんなんでいいんでしょうか?総人口を1億2千万人とすると360万人ですよ。しかもその年齢を見てみると15〜44歳→14%、45〜54歳→12%、55〜64歳→23%、65歳以上→51%です。少子高齢化の問題がさかんに言われますが、農業人口における高齢化はもうどうしようもないところにきています。65歳以上が半分を占めているということは、このまま10年たてばどうなるか、火を見るよりも明らかです。
日本の国が農業をすてて工業化への道を歩み始めることになった転換点は池田勇人が総理大臣に就任した1960年と言えます。所得倍増計画というスローガンのもとに農業は実質、切り捨てられていったのです。そしてカロリーベースで80%あった食料自給率はその半分の40%になり、82%あった穀物自給率は28%になりました。工業製品を輸出してもうけて、食料は輸入すればよいという政策をつづけてきたからですが、こうした考え方が農業を滅ぼし、農村を壊滅させていったのです。
小谷純一氏は「農村は都会の根っこだ。だから農村が病んだら都市も病む、農村が滅びたら都市も滅びる」と言いましたが、まさに至言だと思います。植物というものは目に見える部分と見えていない土の中の部分は半分半分だと言います。つまり地上部の背の高さが5mあったら土中にも5mの根っこがあるというわけです。そして地上部が葉を茂らせ、花を咲かせ、実をみのらせるのは根があるからであって、根のない植物というものはありません。もし根がなくなったら早晩その植物は枯れてしまいます。たとえしばらくは繁茂しているように見えても必ず枯死してしまいます。
いま日本の農村が滅んでしまおうとしています。都市は今しばらくは繁栄しているかのように見えるかもしれません。しかし必ず滅んでいくことでしょう。根のない植物が枯れてしまうように、農村という根のない都市は滅んでいくからです。
はたしてカンボジアはこれからどのようになっていくのでしょう。今カンボジアの経済は飛躍的な勢いで伸びていっているそうです。カンボジア政府発表の数字によると2005年の経済成長率はなんと13%ですよ(真偽のほどは?)。日本の高度経済成長期といわれた1955年からの20年間の経済成長率が年平均10%であり驚異的といわれた数字を上まわっているんですよ。先進諸国の経済援助があっての数字だということですが、それにしてもすごい数字です。
ポル・ポト時代という不幸な歴史からカンボジアはようやく立ち直って繁栄しつつあるように見えますが、けっして日本のようになってほしくない、農村と農民、農業をたいせつにする国でありつづけてほしいと思ったのでした。
by customlegend at 11:02 |
カンボジア |
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